希望の道

作詞・作曲 大西良空

夢を乗せて 夜空の果てまでも
飛んでゆきたい 流れ星のように
誰もがみな 青い鳥に恋して
幸せさがしの旅を つづけているけど
幸せをはこぶ その鳥はいつでも
そばであなたのこと 見つめているのさ
今日から明日へと つづく希望の道を
後を振り向かないで 歩きつづけて

たとえ今が どんなに辛くても
あなたならきっと 越えてゆけるから
汗も涙も 悲しさも寂しさも
強く生きてゆくための 糧となるのさ
雨に打たれながら 微笑んでいる
今日から明日へと つづく希望の道を
あきらめないでずーと 歩きつづけて

花も緑も 小鳥も虫たちも
みんなあなたのこと 見つめているのさ
今日から明日へと つづく希望の道を
後を振り向かないで 歩きつづけて
今日から明日へと つづく希望の道を
あきらめないでずーと 歩きつづけて

小惑星探査機「はやぶさ」の帰還

平成15年(2003)5月9日に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が、平成22年6月13日、7年間の航海を終えて、無事地球に帰還しました。
「はやぶさ」が向かったのは、地球の軌道とよく似た軌道を持ち、日本のロケット開発の父である故糸川英夫博士にちなんで「ITOKAWA」(イトカワ)と名付けられた、長さ600メートル、幅300メートルの、サツマイモのような形をした小惑星で、その表面を詳しく観測して、惑星にある物質のサンプルを持ち帰るのが主な目的でしたが、「はやぶさ」の旅は、トラブルに次ぐトラブルの連続でした。
打ち上げ直後、4基あるイオンエンジンの1基の不調が判明し、「ITOKAWA」着陸前には、姿勢制御装置3台中2台の故障に見舞われました。更に、2005年11月、「ITOKAWA」に二度目の着陸を試み、離陸した直後に、化学エンジンが燃料漏れを起こし、漏れた燃料がガス化して噴き出したため制御不能となり、太陽電池パネルが太陽からの光を受けられなくなって、一時は通信も途絶えて行方不明になってしまいました。
「はやぶさ」からの微弱な信号をキャッチできたのは、行方不明になってから7週間後の2006年1月で、何とか交信できるまでに回復したものの、それによって、地球への帰還予定がさらに3年延びる事になりました。
12台の姿勢制御用化学エンジンすべてが故障してしまったため、機体を推進させるために使用するイオンエンジンを使い、燃料であるキセノンガスを直接噴射するという目的外の使い方で姿勢を制御し、さらにイオンエンジンは、地上で一円玉を持ち上げるくらいの力しかないため、太陽から降り注ぐ太陽光線さえも電池パネルで受けて推進力の助けとするなど、まさに宇宙空間をヨットの帆を張って漂っているかのような状態で、奇跡的な飛行を続けました。
ところが、地球帰還が目前に迫った2009年11月に、最後の頼みの綱であった、帰還に欠かせないイオンエンジンまでもが故障し、この時は、さすがに地球への帰還が危ぶまれましたが、万が一の時の為にと備え付けておいたイオンエンジン同士を結ぶ予備回路を使い、故障した二つのイオンエンジンをつないで一つのイオンエンジンとして蘇らせるクロス運転を実現させて、ようやく地球へ帰還する事が出来たのです。
6月13日、60億キロメートルの長い旅を終え、「ITOKAWA」から回収した物質のサンプルが入っていると期待されるカプセルを分離した後、大気圏へ再突入し、真っ暗闇の夜空を、幾筋もの赤い炎の尾を引きながら燃え尽きていった「はやぶさ」の勇姿は、テレビなどで全世界に放映されましたが、その姿は余りにも美しく、感動的でした。
「はやぶさ」が分離したカプセルは、オーストラリア南部のウーメラ砂漠に降下して、無事に回収されましたが、このカプセルは、その役目を果たして大気圏で燃え尽きた「はやぶさ」が、自分の命と引き換えに人類に託した「希望の子」でした。

「はやぶさ」が残したメッセージ

今回の「はやぶさ」の航海の目的は、太陽系誕生にまつわる様々な疑問を解明する手がかりとなる「ITOKAWA」の物質サンプルを持ち帰る事でしたが、様々な苦難を乗り越えて帰還し、最後に燃え尽きていった「はやぶさ」は、私たち人類に大きなメッセージを残していってくれました。
そのメッセージとは、「いかなる苦難に遭遇しても決してあきらめず、最後まで希望を捨ててはいけない事」、そして「自らの命を燃やし尽くしても守らなければならないものがある事」です。
私達の人生にも、「はやぶさ」が遭遇したような様々な苦難や災難が付いて回っており、何の苦難にも遇わずに生きていける人など一人もいません。誰もが、様々な悩みを抱き、苦しみ、挫折し、絶望しながら、よりよく生きようと懸命に努力しているのですが、苦難を前にして、挫折してしまう人も決して少なくありません。
「はやぶさ」が遭遇したように、苦難は、私達の生きる希望と勇気を打ち砕こうとする不都合な相手以外の何ものでもありませんが、「はやぶさ」は、その苦難をことごとく乗り越え、最後は自らの身を焼き尽くしながら、カプセルを地上に持ち帰るという大きな使命を成し遂げました。
「はやぶさ」が幾多の苦難を乗り越えて無事帰還を果たしたその道のりは、人類に対する大きなプレゼントとなりました。何故なら、「はやぶさ」がたどった60億キロメートルの道のりは、苦しいだけの苦難の道のりではなく、苦難から奇蹟を生み、明日へと続く希望の道のりでもあったからです。
「はやぶさ」は、「どんな苦難に遭遇しても決してあきらめず、最後まで希望を捨ててはいけない」「身を捨てても守らなければならないものがある」というメッセージを、私達人類に残すことによって、太陽系が誕生し、地球上に人類が誕生して以来、私達が求めてやまなかった幸せの扉を開く鍵とは何か、全てを成し遂げる原動力とは何かを、見事に証明してくれたのです。